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新着情報

患者さん・ご家族の方へ

大学病院では呼吸器外科開講以来、年間250から300例の呼吸器外科手術をおこなっています。呼吸器外科手術の約半数は原発性肺がんに対する手術です。鹿児島大学では癌細胞を胸腔内に取り残すことなく完全に切除することを第一目標として肺がん手術に取り組んできました。

扱っている疾患

  • 肺腫瘍

    肺癌(肺悪性腫瘍)、肺良性腫瘍、転移性肺腫瘍など

  • 胸膜腫瘍

    悪性胸膜中皮腫、胸壁腫瘍など

  • 縦隔腫瘍

    胸腺腫、神経原性腫瘍など

  • その他

    膿胸、気胸、肺分画症などの先天異常、漏斗胸、気道狭窄

当科で行っている手術

胸腔鏡手術(1箇所の傷口から行う単孔式胸腔鏡手術を含む)、ロボット支援手術、拡大手術(高難度手術を含む)、漏斗胸に対するナス手術、気管支鏡・硬性鏡を用いた気道ステント留置術

学生・研修医の方へ

呼吸器外科専門医は日本全体で1127名ですが、鹿児島県にはたったの10名しかおりません。肺癌は癌死のトップで、悪性中皮腫も増加しています。 今後ますます呼吸器外科専門医は世の中から切望される人材になることが予想され、すぐに第一線で活躍できる場を提供できます。あなたも呼吸器外科の仲間になり、鹿児島県の肺癌患者のために一緒に頑張りませんか。

初期臨床研修について

  • 手術のやりがい

    3D感覚での手術であり、解剖を十分に知り尽くさないとできない手術。

  • 疾患の多彩さ

    他臓器とは異なり肺にはいろいろな細胞が存在しており、癌のバリエーションも多彩。

  • 女性にも優しい疾患

    急患が少なく、ドレーンさえ留置できれば緊急手術になることは少ないので、結婚や子育てを考えている女性にとっては働きやすい環境となっている。

  • 人材への投資

    手術手技に関して戦略的人材育成を目指しています。 具体的には、同一術式において、術者を固定し短期間に集中的に胸腔鏡手術手技などの訓練を行い、技術の向上ノウハウの集積、伝承を行っています。 また、積極的な学会・研究会への参加。海外、国内での留学に応じていきます。 人材への投資を第一とし、大学という環境でしか出来ないことを全面的にサポートしていきます。

Greetings from the Prof.

教授あいさつ

教授 上田 和弘

呼吸器外科教室は2010年9月に旧第1外科と旧第2外科から呼吸器外科部門が合併、独立する形で開講しました。東北大学(宮城がんセンター赴任中)から着任された佐藤雅美先生が初代教授を12年7ヶ月にわたってお務めになり、2023年4月から私が引き継ぐ形となりました。
私は2018年10月に佐藤先生からお誘いいただき母校の山口大学から鹿児島大学呼吸器外科に赴任しました。その時に15名であった教室員が、現在では30名近くになっています。
呼吸器外科は外科の中の専門的な診療科であり診療体制の整った施設で手術を行う必要があります。そのため鹿児島県下の全ての医療圏で手術を提供することは困難であり、基幹となる施設に症例を集積して治療をおこなっています。
現在なんとか全ての医療圏に呼吸器外科医を非常勤医師として派遣し、外来診療をおこなっています。鹿児島大学病院では2019年にロボット手術、単孔式胸腔教手術を導入しました。がんの進行度や悪性度に合わせてこれらの技術を使い分けています。
また、最近のもっとも顕著な肺がん診療の進歩は薬物療法です。我々は進行癌に対して新しい薬剤と手術、放射線治療を組み合わせることで、従来は切除不能であった進行肺がんの根治を目指しています。

 

研究面ではこれまでの大学院生の学位研究として臨床切除検体、小動物、細胞株を用いた基礎的研究をおこなってきました。
肺がんの生物学的悪性度やドライバー変異陽性肺がんの発生の謎に迫る研究を行いました。さらには臨床研究で肺がんのリンパ節転移機構や肺がん術後の血栓形成の機序についても検討しました。
近年は特に分子生物学的研究における実験測定機器の進歩が目覚ましく、古典的な実験手法では国際的に評価してもらえません。
我々は再生医療、がんの最先端の研究が行われている最先端の施設との共同研究を行い、外科医の鋭い視点とアイデアを加えて臨床に還元できる新知見の探索を行なっています。
また遺伝子レベルでの研究では膨大なデータを活用するためにデータサイエンスの技術を避けて通ることはできません。我々は膨大な手術症例のデータ解析や肺がん検診などにおいてAIや最新のデータ解析ソフトを活用しています。

 

教育面ではダイバーシティーを重視しています。性差だけではなく個人の価値観も重視しています。コロナ禍は人と人との距離を離してしまいました。それを補うために幸か不幸か人間味のないIT技術を受け入れざるを得なくなりました。
今後も益々IT技術が進化することは間違いありません。しかし「目は口ほどに物を言う」というように対面でのコミュニケーションは患者さんとの信頼関係の構築や、医療における他職種とのチームワーク、ノンテクニカルスキルの発揮など、様々な場面において重要と思っています。
医師を目指す医学生、若い医局員においては、全ての人を尊重し、大事にできる医師になってほしいと考えています。

最後に、鹿児島大学呼吸器外科が世界に誇れる教室となるように、医局員一丸となって努力しますので、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

教授 上田 和弘

©2021 鹿児島大学病院 呼吸器外科