呼吸器外科では肺がんに対する手術を主に行っています。
肺がん以外では、気管支・肺疾患、心臓血管周囲に発生した腫瘍、胸壁・横隔膜の疾患に対しても外科治療を行っています。特に気胸は年齢を問わず頻度の多い外科的疾患ですが、当院では救急部と呼吸器外科が連携して気胸に対する初期対応を24時間体制で行っています。県内の優秀な呼吸器外科医を集約して、手厚い医療を行っています。
肺がんの手術では、目に見えないがん細胞を取り残すことなく完全に摘出しなければ完治は望めません。がん細胞が転移しているかもしれないリンパ節を切除するときには細心の注意を払い、精度の高いリンパ節郭清を行う必要があります。一方で、早期の肺がんでは肺だけを必要量切除することで完治するものもあります。そのような観点から、私たちはがんのステージに応じて患者さんに最適の切開方法を選んでいます。
1箇所の小さな傷口だけで行う内視鏡手術
リンパ節転移のない早期癌に対して肺部分切除術、肺葉切除術を行います。私たちは、肺の切開部分からの空気漏れ(手術後の合併症の一つ)を丁寧に閉鎖しており、術後に胸にドレーン管を入れなくてもいいような手術を心がけています。
小さな傷口数カ所で行う内視鏡手術
精度の高いリンパ節郭清が必要なステージの肺がんに対して、数カ所の傷口からいろいろな内視鏡用の器具を挿入して手術を行います。
小さな傷口3箇所あけてロボットの補助の下に行う手術。
2019年4月から保険適応となった治療法です。現在では肺区域切除術、肺葉切除術、縦隔腫瘍摘出術を行っています。精巧な動作が可能なロボットアームを使うことで高精度の手術手技を内視鏡下に行えるようになりましたが、5箇所程度の傷をあける必要があるのが難点でした。私たちは独自の工夫で3箇所の傷口から高精度のリンパ節郭清を行う方法を開発しました。
8-15cmの傷口から直接患部を見ながら行う手術。
手術適応となる肺がんのうち、最も進行したものでは手術操作により容易に胸の中にがん細胞がちらばってしまう危険性があります。このようなステージのがんに対しては患部を直接見て、手で優しく触りながら細心の注意を払って手術を行っています。